昨年末、思い立ってランニングを始めてから、早いもので一年になろうとしています。
この一年間の走行履歴は、月間走行距離が平均70km。今まで一度も、月間100km超の走行距離を達成していません。
走行距離も少ない、にわかランナーではありますが、それでも走り続けるなかで感じることがいくつかありました。
それは、「こうしたら、タイムアップできるのでは」といったヒントや、「どうやったらフォアフット走行ができるのか」といった小さな疑問など。
それらはランニングの最中に思いついて、それぞれ別々の問題として、常に気になっていました。
[club MY☆STAR]という人気のランニングクラブ代表、岩本能史さんが書いた「非常識マラソンメソッド」を読み進めるうちに、それらの問題が一つひとつ氷解していき、やがて、点と点が線で繋がるように解消していきました。
本書では「非常識」というキャッチーなキーワードが使われています。しかし、すでに初版発行から3年以上が経過し、現在ではランニング・マラソン界では常識となっているメソッドです。
これは、著者自身が率いるランニングクラブにおいて実証し、結果が出たものだけが記された、実践的なランニングバイブルといって良い内容です。
走り続けるうちに、自然とフルマラソンで、サブ4(4時間切り)を達成できたらいいな、というランナーには特にお薦めしません。
しかし、どうしても初めてのフルマラソンでサブ4を達成したい!といった明確な目標を持ったランナーにとっては必読の書となるはずです。
「初心者は厚底シューズ」の間違い
「ランニング初心者は、厚底でクッション性の高いランニングシューズを履く」というのが定説となっています。
これは、常識となっているかもしれないが、間違いである可能性が高いとしています。
ハイヒールよりもスニーカーの方が何倍も歩きやすいですよね。ランニングシューズも同じでソールが高く(厚く)なればなるほど、足元が不安定になります。
「非常識マラソンメソッド」より
ランニングフォームの固まっていない初心者であれば、なおさら重心の低い、ソールの薄いシューズを選ぶべきです。
私は、スキーを販売していた経験がありますが、スキー初心者に分厚いプレートの入ったビンディングを勧めるショップはありません。スキー操作に慣れていない人ほど、不安定な雪上で安定感を得るためには、低い重心が重要になります。
ランニングで前に進む力の源になっているのは、着地時に地面から跳ね返ってくる反射エネルギーです。軟らかい砂地と硬いアスファルトにテニスボールを落とすと硬いアスファルトのほうがボールが高く弾みます。(中略)
薄底シューズは着地時に地面から跳ね返ってくるエネルギーを無駄なく推進力に変えられるのです。
「非常識マラソンメソッド」より
説得力のある例えで、腑に落ちました。「初心者ランナー=厚底シューズ」が常識という概念は根底から覆されました。
【関連記事】フルマラソンでサブ4を達成する、おすすめのランニングシューズ
著者は、別の著作「非常識マラソンマネジメント」において、おすすめのマラソンシューズとして「アディダス:アディゼロ Japanシリーズ」を推奨しています。
アディゼロジャパンは、ハイレ・ゲブレセラシェ選手が世界新記録を樹立した際に履いていたシューズとして有名になったランニングシューズ。2014-2015年シーズンのモデルは「アディゼロ ジャパン ブースト」。
著者自身のランニングシューズは、500km~600km走りこんでも靴底が減らないといいます。大きな筋肉を推進力に利用した、理想的なランニングフォームを身につけることで、靴と地面とに起こる摩擦が低減するようです。
ついでに、私の履いているランニングシューズを手にとって見ると、踵(かかと)と前方部分に、明らかな減りが見受けられます。薄っすらと気付いていましたが、踵着地をして、足首で地面を蹴る、効率の悪いランニングフォームになっていると思われます。
足首を固定すれば理想のランニングフォームに近づく
本書を読んで走ってみると、直ぐに実感することができるのは、足首を固定して走ることで踵着地が矯正されることです。
足裏全体で着地すると、足首で蹴らなくても前に進みます。(中略)着地時の運動エネルギーを上手に利用すると、弾むように前へ前へと加速できるのです。
足首の角度を変えずにしっかり固定して、シューズの底を後ろのランナーに見せないようなイメージで走ります。
「非常識マラソンメソッド」より
ふくらはぎの筋肉を使って、地面を蹴っていくランニングフォームを改めて、より大きな筋肉に仕事をさせることで、効率の良い走りに変わることができます。
ランニングで頼るべきは、脚の付け根にあるお尻の大臀筋(だいでんきん)、太もも後ろ側のハムストリングという大きな筋肉です。足首を固定してカラダの真下に着地した瞬間、地面から受け取った運動エネルギーをお尻とハムストリングで受け止めて、推進力に変えるのです。
「非常識マラソンメソッド」より
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サブ4を目指すトレーニング
フルマラソンで4時間切りを達成するための具体的なトレーニングが記されています。
- 超効率的なランニングフォームを身につける
- ビルドアップ走で必要なスピードをつける
- 峠走でランニング4要素を鍛える
シンプルにすると上記の内容に大別することができます。
ビルドアップ走から一例を紹介します。
目標タイムは、フルマラソンの目標タイム(ペース)から決めます。
サブフォーを目指すなら5km28分ペース。ビルドアップ走の設定は、初めの5km28分→次の5km27分→最後の5km25分半となります。これを本番の10日前に達成できたらサブフォーはかなりの確率で達成可能です。
「非常識マラソンメソッド」より
サブ4を達成するレースマネジメント
マラソンにおける練習プログラムはレース当日から逆算して決めます。超回復のサイクルやダメージを抜くタイミングなどを細かく見直すことができます。
- 2~3ヶ月前の成長期トレーニング
- 1~2ヶ月前の鍛錬期トレーニング
- 1ヶ月前のレースモード期
このなかで、衝撃的だったのが月間走行距離の目安。
ランナーの走力の物差しの一つが、月間走行距離。あくまでも目安ですが、サブフォーだとレース直前の月間走行距離が200km、3時間半だと250kmほどです。
「非常識マラソンメソッド」より
私の場合、月間走行距離が100kmを超えたことがないので、圧倒的に走り込みが足りないことが分かりました。
- 疲労を溜めない栄養補給法
- 給水しながら走る練習をする
- レース前は現地に前泊する
- レース当日の朝は「切り餅」を食べる
- レース中は「甘い糖質」を摂る
- スローペースでスタート
- 30~35kmで最速ラップを刻む
初めてフルマラソンに挑戦する身にとって、実践的なノウハウが紹介されています。
サブ4達成を目指す関連記事
サブフォーに関連する記事があります、あわせてご覧ください。
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まとめとして
本書の著者は、[club MY☆STAR]という人気のランニングクラブの代表です。
そのクラブにおいて、代表とメンバーが試行錯誤し、膨大なトライアンドエラーの末に残された結晶が本書に紹介されているランニングメソッドだと考えられます。
以前、マラソンでサブ4を達成するには長い距離を走るトレーニングはNGでも紹介した、「ATペースの引き上げ」「超回復のメカニズム」「インターバルトレーニング」「ビルドアップ走」など、今では当たり前になってしまった、ランニングのメソッドが紹介されています。
私自身は、先日行われた「八王子ロードレース」という、10kmのレースに参加。この後、2013年11月30日「第15回記念 東京マスターズロード選手権」にてハーフマラソンを走り、2014年3月2日「2014 静岡マラソン」で初めてフルマラソンに挑戦します。
一般的に、スポーツで最高のパフォーマンスを発揮できる年齢はとっくに過ぎているので、初マラソンで一気に、サブ4達成をしたいと考えています。