インターネット上や新聞記事などには度々登場していた話題「今年の統一球は昨年より飛ぶ」という噂は本当だった!
実は今年はじめから、飛ぶボールに変わっていました。というウソみたいな記事ですが、「やっぱりそうだったのか~!」という声が多いようです。
ベースボールのグローバルスタンダードを目指した
野球は北米を中心とした、世界でもマイナー競技ではあるとはいえ、WBC(ワールドベースボールクラッシック)といった国際的な大会が行われる。また、アメリカのメジャーリーグは巨大なマーケット(市場)を構築しています。
日本からアメリカ・メジャーリーグに移籍して、活躍できる選手と期待ほどの働きができずに日本に戻ってくる選手がいます。その理由として、環境や体力差に加えて、日本のプロ野球で使用されている球(ボール)とメジャーリーグで使用されるボールとの違いに対応できない選手(特に投手)が多いことが言われてきました。
野球とベースボールに違いがあっては、グローバル社会で選手が活躍できないと懸念して、2011年のシーズンから「統一球」と呼ばれる“飛ばないボール”をプロ野球の公式戦に使用するようになりました。
2011年から一軍公式戦に導入。ミズノ社製で、中心のコルク芯を覆うゴム材に低反発性素材を使用。米大リーグの球に近づけるため、縫い目の幅を7ミリから1ミリ広げ8ミリへ、高さは1.1ミリから0.2ミリ低い0.9ミリに変更。ミズノの実験では、球速144キロ、スイング速度126キロで飛び出し角度を27度とした場合、飛距離は約109.4メートルで、従来品より約1メートル飛距離が短くなるとされた。
統一球導入の結果、導入前の2010年シーズン1,605本塁打に対し、2011年は939本(58.5%)、2012年は881本(54.8%)と激減している。
「毎日.jp」より引用
解説者・選手は感じていた
特に選手は今年から球の飛びが良くなっていることを実感していたようです。
今期と昨年、同時期のホームラン数を比較すると、今期のホームラン数が1.5倍に増えていることから確信を得ている人も解説者に多かったようです。
記録・選手の年棒に影響が考えられる
ホームランが多くなって、球場で観戦する人には喜ばしい、と無邪気に考えていましたが、実は影響が多くあります。
これまで長年蓄積されてきたデータの前提が狂ってしまうこと。将来、過去のデータを振り返った時、2011年・2012年のホームラン記録はガクンと少なくなります。
また、投手が球団と出来高払いで、年棒を決めているケースでは、被ホームランが増えることで成績が悪化してしまいます。シーズン中にもかかわらず、前提条件が変わってしまっていたため契約内容を修正するのかしないのか、お金が絡み難しい局面です。
まとめとして
iPhoneという“現代の黒船”がやってきて、やむなく開国することになった、ガラパゴス化した携帯電話市場と似ています。グローバルスタンダードに合わせていくことは今の時代として当然のことだといえます。
問題になっているのは、「なぜ二年で戻したのか」「なぜ開幕時に情報を開示しなかったのか」という二点です。
“都合の悪い情報ほど早く伝える”というのは、仕事をする上で大事なことです。
また、スポーツでもビジネスにおいても「前提条件が変わる」という事態は、容易に起こりうること。
生物の進化の歴史を遡ってみても、変化に対応できた種が繁栄・存続をしていきます。いかに対応するかが求められています。