不動産業界に仕事として携わる人であれば取得しておきたい資格の代表格が「宅地建物取引主任者(通称:宅建)」でしょう。
資格を持っていなくても不動産会社に就職することはできます。さらに物件の紹介・案内などの業務も資格が無くても普通に行うことができます。
資格がないとできない業務に、契約書への押印と重要事項説明。重要事項説明とは不動産を購入(賃借)しようとしている人に対して、物件の説明を書面と口頭で行うものです。
資格を持っていない社員は、契約書・重要事項説明書を作成する際に、有資格者(宅建主任者)にお願いして作成と説明をしてもらいます。
この宅建、例年23万人~26万人が受験する合格率は15%~17%、意外と人気の資格です。
受験している人は不動産業界に勤めている人たちばかりではなく、金融関係・学生・主婦など様々です。さらに興味深いのは合格するのは学生や主婦など不動産業界以外の人が多いのが特徴だと言われています。
宅建の人気の理由は、不動産に関する知識は勿論問われますが、「貸したお金は何年で時効になるか?」といった法律に関する知識も問われます。宅建を取得している人は法律関係の初歩が分かっていて、法の原理・原則を一通り抑えているとみなされる点が大きいと言われます。
宅建はこんな資格
宅地建物取引主任者資格試験は、例年10月の第3日曜日に実施されます。2013年は10月20日(日)実施。
13時から15時までの2時間で50の設問に解答します。解答方式は4択のマークシート。全く勉強していなくても確率的には12点とれる計算になります。
合格ラインは、32点~36点(過去11年)、直近11年間で36問得点することができれば100%合格しています。
満点をとる勉強は必要なし
前述のように、宅建は36点とれれば合格できます。50点満点をとっても「スーパー宅建ゴールド」のような特別な資格はありません。
36点で十分です、もし心配な人は2・3点上乗せして39点を得点できるようになっていれば宅建の勉強として十分です。
簡単に取れる1点と難しい1点がある
宅建の勉強する上で、最も重要なことは、簡単に得点できる科目としっかり勉強してもなかなか得点できない科目が存在することを知ることです。
満点を取る必要はありません。勉強時間は有限なので、勉強すれば得点できる科目を取りこぼさないようにしっかり勉強します。膨大な勉強時間を費やしても1点取れるかどうか分からない科目は大胆に切り捨てる勇気が必要です。
合格する為の得点科目イメージ
- 宅建の科目別配点は次のようになっています
- 宅建業法——-20点
- 権利関係——-14点
- 法令上の制限—-8点
- その他の法令—-8点
合計———–50点満点
宅建業法は勉強すれば確実に得点できる科目です。20点満点を目指します、どんなに少なくとも18点は取れていないとその年の試験はパスしないでしょう。
権利関係で14点満点の6割に当たる8点を目指しましょう。権利関係は一見するとややこしく見えますが、法律は非常に合理的にできています。「こんなことがまかり通ったら許されないだろう」と思うことは法律的にも許されないようにできています。法の精神を理解できれば6割は得点できます。
法令上の制限は8点の5割、4点得点できれば十分でしょう。なお、毎年一問出題される農地法は必ず得点してください。最も少ない勉強時間で得点できる項目で出題パターンも4つくらいしかありません。
その他の法令は全8点中、7割の5点楽に取れると思います。
- 合格の得点イメージは下の様になります
- 宅建業法——-19点
- 権利関係——-8点
- 法令上の制限—-4点
- その他の法令—-5点
合計———–36点獲得
何度も言いますが、合格するためには36点あれば十分です。
8月までは聴いて覚える
お奨めの勉強法として試験の2ヶ月前の8月までは耳で聴いて覚える勉強を推奨しています。
聴いて覚える教材としてダイヤモンド社の「iPod宅建」がお奨めです。
iPod・iPhoneなどを持っていれば無料で音声ファイルをダウンロードして何度も繰り返し聴くことができます。
「iPod宅建」は一つの講義が20分ほどの長さで、全部で100講義あります。単純に乗算してみると2,000分、約33時間ほどあれば通して聴くことができます。
しかし、一度聴いただけでは全く意味がありません。空いた時間や、移動中の車のなかで、何度も繰り返し聴くことが一番需要です。
お盆明けからは過去問中心
試験前の2ヶ月間はとにかく過去問を繰り返し解くことをお奨めします。
色々な会社から参考書や過去問集が出版されていますが、買い揃える必要はありません。一つの種類の過去問を繰り返し反復するほうが身に付きます。
目安として、「宅建業法」5回・「権利関係」3回・「法令上の制限」3回。最低でもこれだけは繰り返し勉強する必要があります。
ゴールから逆算してスケジュール化
合格するための得点イメージもゴール(合格)から逆算して何点とれれば良いかを導き出しています。
勉強するためのスケジュールも同じことが言えます。宅建試験で36点得点するためには、試験当日までにどんな勉強をどれだけしていれば良いかを逆算してみることが重要です。
お盆休み明けから試験までの2ヶ月間で、10年分の過去問をそれぞれ「宅建業法」5回・「権利関係」3回・「法令上の制限」3回、繰り返しやるとしたら、一日あたり何ページ(何問)ずつ勉強をすればいいか分かります。
あとは粛々とこなしていきます。単調ですが2ヶ月間なら耐えられるでしょう、また繰り返し過去問を解く以外、合格に近づく道はありません。
直前は3日間はとにかく頑張る
試験直前の3日間はとにかく重要です。社会人は仕事を休んででも勉強をしたほうが良いともいえます。
それまで勉強した過去問のなかで何度も間違えてしまう問題や、暗記を必要とする部分など集中的にやり直します。
また、宅建試験の2時間は、勉強していない人にとっては「長い2時間」ですが、勉強して望むものにとっては「非常に短い2時間」です。時間内に50問、解答できるペース管理も直前3日間で養う必要があります。
まとめとして
資格試験に限らず目標がある場合は、まず情報を集めてゴールを設定することが大切です。到達するゴールが設定できたら、ゴールから逆算してどのようにたどり着くかを考えれば道に迷うこともありません。
宅建の場合であれば、ゴールは合格ラインの36点をとること。ゴールへの道筋は、過去問を繰り返し勉強する回数であるといえます。
今回紹介した宅建の勉強法は、私と友人・後輩など数人が実践して成功した方法です。皆36点を目指して勉強していましたが最終的な得点は38点から42点までと、余裕をもって合格発表日を待てる成績でした。
これから宅建取得を目指そうという方の一助になれば嬉しく思います。