安倍自民党政権でも、成長戦略の重要政策課題として、「資源の確保」「インフラの輸出」目玉として挙げています。
産業大国としての日本に陰りが出てきている昨今では、自動車や電気製品に代わる、輸出産業の柱が待望されています。
実際に先進国として新興国へ輸出できるインフラは多く、上手く機能することができれば大きな利益を生み出します。
意外に少ない?インフラ輸出の実績
これまでの日本のインフラ輸出実績を示します。
- アジア市場全体–770億ドル
- うち、日本——80億ドル
- 1位は、中国—-170億ドル
- 中東市場全体—720億ドル
- うち、日本——42億ドル
- 1位は、米国—-120億ドル
海外では、まだまだ伸張の余地がありそうです。
パッケージ型インフラ輸出を目指せ
通常、インフラと呼んでいるものは、インフラストラクチャー(infrastructure)の略称で、人々の生活や企業の産業を支える社会的・公共的な施設のことを指します。
鉄道・道路・橋・水道・電気・発電・学校などの教育といった、住みよい都市をデザインし、社会基盤をインフラ整備する。そのうえで国民の生活や産業を活性化させていくのがその役割です。
これまでの日本は製品などの単品輸出が得意でした。
日本は2004年から台湾の高速鉄道を輸出していますが、新幹線の車両のみを輸出するに留まっています。運行・運営システムはイギリスが受注し輸出しています。
完成品の納入が済むと、その後、多少のメンテナンスのオーダーがあるかもしれませんが、基本的には終了します。しかし、分刻みで時間管理する日本の列車運行システムは世界中を見渡しても並ぶものがないほど優秀なシステムです。これを車両とパッケージで売り込むことができなかったのは残念だと言えます。お金の流れとしてみても一過性の流入で終わるものよりも、継続的に流入してくることほど、ありがたいことはないと考えます。
今後、パッケージ型のインフラ輸出は先進国の受注が激化していくことが見込まれています。
日本は環境対策でも先進国だ
この冬問題になった、中国の“PM2.5”は、これまで成長率だけを注視し、環境破壊・汚染・公害に目を背けてきた中国国民に切実な問題として受け止められました。今後は成長と環境の両立を実現できる成長モデルを必要とさせる出来事だった。
日本は1960年代から、これらの問題に直面し、既に一定のレベルに抑える処理設備を確立している。この環境に配慮した産業構造をインフラとして、新興国に輸出しない手はないだろう。
まとめとして
産業構造・雇用構造・社会構造が変化してきています。従来型のハード面の単品売りでは国際競争力を保つことが難しくなっています。
日本が世界第三位の経済大国に成長する過程で引き起こされた負の遺産である環境問題。今こそこれをプラスに転換するときでしょう。
環境都市デザインとして、ハード・ソフト両面のパッケージ型インフラの輸出こそ成長戦略の大きな柱となっていくことを切望します。
今回の記事は、聴取しているPodcastから、内容を紹介しました。
出典は、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」より、嶌 信彦さん「日本のインフラ輸出の目玉」です。