少子化対策に読書のすすめ【重松清:とんび】

夏休みに決まって旅行をする西伊豆の雲見温泉。今夏の宿を調べているとTBSで放映されたドラマ「とんび」が撮影されたロケ地であるという。

そのドラマの評判はFacebookで知っていたので、夏の旅行を楽しめればと原作本を読んでみることにした。

子供を育てることの楽しさ、切なさ、喜びを主人公の人生を通して追体験することができます。
重松清「とんび」

子供を育てることの素晴らしさを実感

「被害者、被害者いうて、そげんいばるな」
ヤスさんは逆に、仁王立ちするように足を踏ん張り、胸をグッと張った。
「・・・学校に相談してもええんですよ」
「おう、なんぼでもせえや」
軽く返したヤスさん、さらに口調を軽くして、「わしはずーっとアキラの味方じゃけん、二人まとめて相手にするつもりで喧嘩しんさいよ」とつづけた。
「・・・親の責任はどげんするんですか」
「責任?」
ヤスさん、鼻に詰めたティッシュを抜き取り、ティッシュの赤い染みを一瞥して、また鼻に詰め直す。ふふっ、と笑う。いまから口にする言葉に、先回りして照れてしまった。
「責任より愛のほうが大事じゃ」——–きっぱり言って、やっぱり照れた。

とんび ゲンコツより

世の中で生きていくことは、結構大変だ。

そのうえ子育てともなれば相応の苦労を伴う。

また、自分の子供とはいえ、その子の人生の一部を背負っているのだから重圧も計り知れない。

それでもやっぱり、身近に子供がいて、成長していく姿を見せてくれることは、何にも代えがたい喜びがあると思います。

不幸な事故で失ってしまった妻の分まで子供を愛そうと、全身に汗をかいて奮闘するヤスさんの姿に応援したくなる自分を見つけることができます。

まとめとして

トンビが鷹を産んだと揶揄され、学歴もなく、家庭環境にも恵まれなかったヤスが、我が子アキラを不器用な愛情をもって育てる。トンビに育てられるアキラがタカであったかどうかは分からないが、ヤスにとって間違いなくタカラではあっただろう。

子育ての素晴らしさを知ることのできる本書は、少子化対策のために読んで欲しいと思います。
しかし、読了するとヤスの人生を追体験できるため、すでに子供一人を育て上げたような満足感を得てしまうかもしれません。
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